ユニトラックの ベアリング化

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KSRの無駄に豪華な装備の一つにユニトラックサスペンションがあります。
このユニトラックサスペンションですが少々作りがチープでして、樹脂製のスリーブに金属のカラーを差し込んだだけの構造なので、 Oリングで防水処理はしてあるものの、半年もノーメンテなら間違いなく固着してしまいます。
私もはじめは可動部品とは知りませんでした(^^;
せっかくのユニトラックの性能を活かすべく、可動部のニードルベアリング化を行ってみました。

このユニトラックのベアリング化については、最初に思いついた方式がベアリングのメーカー在庫切れで入手できなかったため

などといった色々な方式を試すこととなりました。
いずれの方式もノーマルより格段に動作はよくなりますが、費用が高くついたり、強度に不安があるなど少なからずネガティブな要素があったように思います。

2006年の秋、当サイトを見たhero-hero氏から独自に考案したニードル化の手法を教えていただきました。

さっそく入手して実験してみたところ、価格・強度共にバランスのとれた最も満足行く方式になりましたのでこの方式をhero-hero式と呼びたいと思います。

KSR File の記事を見た人も迷わずhero-hero方式でいきましょう!

※ユニトラックベアリング化の功罪

KSR-1・2のショックアブソーバー(ダンパー)は、リンク式サスゆえに社外汎用ショックがほとんど適合しません。
数社からKSR用の強化ショックが販売されてはいますが、あまり選択の余地が無いのが実情です。
ノーマルのショックは、樹脂スリーブの動きの渋さを前提にした衰減力・バネレートに設定されていると思われます。
リンク部をベアリング化し動作がスムーズになると、ノーマルショックのチープさが際だって目立つようになります。

高速度で走行中にギャップを拾うと、サスの動きが収束せずヒヤッとすることがあるかもしれません。
レースなどのシーンでは、コーナー旋回中、サスがボトムした状態で安定せずフワフワしてタイムが伸びないかもしれません。

ユニトラックのベアリング化により動作が格段によくなるのは間違いないのですが、負の面もしっかり考慮した上で改造する必要がありそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

hero-hero方式

なんだか余計な遠回りをしましたが、やっと満足できる方式に なりました。
2003年当時、このベアリングがメーカー欠品していなければ、おそらく他の方式は試さなかったでしょうw

シール付きシェル形ニードルベアリングを使った改造
おにぎり(ロッカーアーム)側を加工しなくて済み、強度と耐久性を兼ね備えた、シール付きシェル型ニードルベアリングを使った改造方法です。

ベアリング単体の価格は割と手頃で安価に入手できますが、カラーを4つ作成する必要があります。

改造概要図

 

NTNの外径21mm内径15mmの片面シールシェル型ニードルベアリングを合計8個使用します。

外径15mm内径10mmのカラーをベアリングに通し、純正ボルトで組み上げる方法です。
カラーはSUS削り出しで作成しました(外注)。

・使用ニードルベアリング
 NTN HK1514L x 8

ロッカーアームと、タイロッドの樹脂スリーブ挿入部は、実測で約21mmなので、加工することなくアリングを圧入する事が出来ますが、緩い場合はロックタイトなどで接着します。


カラーの作成(外注)
強度やサビへの耐久性を考えSUSでカラーを作成することにしました。

SUSの加工は素人には難しいので図面を作成し金属加工業者に外注しました。

外径15mm 内径10mm 幅35mm x 3
外径15mm 内径10mm 幅30mm x 1

カラーの完成
発注後、数日で納品されました。
調子にのって3セットも作ってしまったのですが・・w

今回利用した業者ではカラー4つで1万2千円ほどかかりましたが、もっと安く加工してくれる業者もあると思います。

ベアリングの圧入
ガタが発生しないように、突き出しを残して圧入しました、強度的な問題は無いと思います。

面位置圧入してワッシャーなどをスペーサー代わりに挟んでも良いと思います。

ロッカーアームは鋳物ですので、サイズの誤差が激しいです。
ベアリングの圧入が緩い場合はロックタイトなどで接着補強します。

組み付け
ベアリングの圧入が完成したら、リチウムグリスなどをたっぷり塗り込んでからカラーを通し、カラーにボルトを通して部品を組み付けます。

総評

製造コスト1万六千円ほど。
カラーの加工費が大部分を占めていますが、加工業者の選定によっては大幅にコストダウンできると思います。

強度・耐久性・費用効果の面で最もバランスがとれているので、いままで試した方式の中では一番満足のいく作品になりました。

調子にのって3セットも作ったので、そのとき配布したインストラクションを公開します。

実用度 低★★★★★高
バカ度 馬★★★★☆賢
費用効果 低★★★☆☆高
難易度 簡★★☆☆☆難
目立ち度 地☆☆☆☆☆派
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リッチ方式

KSRのカスタムにはお金を惜しまないあなたは勝ち組です
そんなあなたにお勧めなのが、こちらの改造方法です。

片面シール付きソリッド形針状ころを使った改造
水やホコリなどの異物の進入を避けるため、片面シール付きころ(ニードルベアリング)を使った改造方法です。

ベアリング単体の価格が高価な他、ベアリングを圧入するためにユニトラック部品に加工を伴いますので、それなりの思惟をもって着手することが必要です。(大げさ)

改造概要図

 

NTNの外径22mm内径14mmの片面シールころを合計8個使用します。

外径14mm内径10mmのカラーをベアリングに通し、純正ボルトで組み上げる方法です。
カラーは純正品を削るか、内輪と呼ばれるベアリングを使用します。

・使用ニードルベアリング
 NA4900L x 8

通称おにぎりと、タイロッドの樹脂スリーブ挿入部は、実測で約21mmなので、ベアリングを圧入するために、穴を広げる加工をします。


カラーの加工
14mmの内輪を純正カラーの幅に合わせるため切断します。

大層な工作機械は持っていないため、ボール盤のチャックにダイヤモンドカッターを取り付け地道に切断しています。

正しくない工作機械の使い方は危険なのでやめましょうw

35mm幅 x 3
30mm幅 x 1

穴の加工
ベアリングを圧入するため、各穴を22mmに拡張します。

←写真の下のおにぎりが加工前、上のおにぎりとタイロッドが加工済みです。

タイロッド部の穴は、強度的に不安のある厚みになってしまいますw

加工は個人では難しいので、知り合いの加工屋さん「K製作所」にお願いしました、\10,000でおつりがきます。

※ベアリング圧入のため精度が必要ですから、ボーリング加工してもらっています。

ベアリングの圧入
ベアリングドライバとハンマーで少しずつ圧入します。
面位置圧入せず、純正樹脂スリーブ分の突き出しを残して圧入すると、組み付け後ガタが生じません。

面位置圧入してワッシャーなどをスペーサー代わりに挟んでも良いと思います。

組み付け
ベアリングの圧入が完成したら、リチウムグリスなどをたっぷり塗り込んでからカラーを通し、カラーにボルトを通して部品を組み付けます。

これでリッチ方式のベアリング化は完成です、純正の金属カラーとは全然違うサスの作動が確認できるはずです、しかもシールベアリングを使用しているため錆びて固着する可能性は極めて低いです。

総評

部品と加工の総額で2万円を超える勢いです。(^^;
しかしながら純正では考えられないほどスムースに動作するサスに感動する事でしょう
(そのうち慣れて当たり前になってしまうため、すぐに感動がうすれますが・・)

今回はNA4900Aと言うNTNのベアリングを使用しましたが、もっといいベアリングが
あるかもしれません、メーカーのカタログなどで研究してみて下さい。

耐久性が高く安心して利用できますが、 それにしても シールベアリング高すぎ・・・

関連リンク:NTNカタログサイト

実用度 低★★★★★高
バカ度 馬★★★★☆賢
費用効果 低★★★☆☆高
難易度 簡★★★★☆難
目立ち度 地☆☆☆☆☆派
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オーディナリー(人並み)方式

KSRのカスタムにそこそこお金をかけ、手軽さと安心を一度に手にする貴方は勝ち組です。
そんなあなたにお勧めなのが、こちらの改造方法です。

純正樹脂スリーブを金属に置き換え強度を確保

プアー方式と同じく、ノンシールのニードルベアリングを使いますが、純正樹脂スリーブをアルミに置き換えることにより強度を確保します。

金属スリーブを差し替えるだけなので、手軽に安心な強度を得られるほか、価格もリッチ方式の半額以下で実現できます。

加工は個人では難しいので、知り合いの加工屋さん「K製作所」にお願いしました、\5,000-でおつりがきます。


改造概要図

NTNの外径18mm内径14mmの針状ころを合計8個使用します。
カラーの長さに合わせ、17mm幅を7つと11mm幅を1つ使います。

純正の樹脂スリーブと製作したアルミスリーブを交換してベアリングを組み付けます。

カラーは純正カラーを外径14mmまで削るか、内輪と呼ばれるベアリングを使用して35mm x 3本、30mm x 1本用意します。

・使用ニードルベアリング
 K14x18x17 x 7
 K14x18x11 x 1

丁度良いサイズのベアリングがないため多少のガタが発生しますが実用上問題ないでしょう。


カラーの加工
14mmの内輪を純正カラーの幅に合わせるため切断します。

大層な工作機械は持っていないため、ボール盤のチャックにダイヤモンドカッターを取り付け地道に切断しています。

正しくない工作機械の使い方は危険なのでやめましょうw

35mm幅 x 3
30mm幅 x 1

スリーブの圧入
スリーブをおにぎりとタイロッドに差し込みます。

一カ所だけサイズの違うスリーブを使っているので注意して下さい、 おにぎりのダンパー接合部のスリーブは、他の部位より短くなっています。

組み付け
特に加工の必要もないので早速組み付けます。

アルミスリーブ・ベアリング・カラー・ボルトの順です。

さすがにシーリングが無いのは精神衛生上よろしくありませんから、純正のOリングを何となく利用します、効果のほどは?ですが。

潤滑にはリチウムグリスを使いました。

総評

ユニトラック本体の加工は一切無く、スリーブの差し換えとカラーの作成程度の作業で
済んでしまうため、基本的にポンづけです。
費用も比較的安く抑えられ、強度も確保出来るので安心です。

しかしながら、シールが簡易的なものになりますので、定期的なメンテは必ずする
必要があります。(当たり前ですが)

素晴らしくコシのある作動感が得られます!

今回はK18x14x17と言うNTNのベアリングを使用しましたが、もっといいベアリングが
あるかもしれません、メーカーのカタログなどで研究してみて下さい。

耐久性が高く安心して利用できますが、メンテはきちんと行いましょう

関連リンク:NTNカタログサイト

実用度 低★★★★☆高
バカ度 馬★★★★☆賢
費用効果 低★★★★★高
難易度 簡★★☆☆☆難
目立ち度 地☆☆☆☆☆派
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プアー方式(仮名)

対費用効果を重視した節度ある投資をし、マメにメンテを行うあなたは勝ち組です
そんなあなたにお勧めなのが、こちらの改造方法です。

保持器付針状ころを使った樹脂スリーブ流用の改造
シールベアリングはあまりにも高価で、ユニトラック部品自体の加工も必要になるため、なるべく安価に加工を要せずベアリング化する方法です。

純正の樹脂スリーブをベアリングレース代わりに利用することで、手軽に実施できます。

精度と異物の噛み込み・サビなどの不安がありますが、純正の金属カラーに比べれば格段に良いです。

改造概要図

 

NTNの外径18mm内径14mmの針状ころを合計8個使用します。
カラーの長さに合わせ、17mm幅を7つと11mm幅を1つ使います。

純正の樹脂スリーブを外さずに、ベアリングを組み付けます。
カラーは純正カラーを外径14mmまで削るか、内輪と呼ばれるベアリングを使用して35mm x 3本、30mm x 1本用意します。

・使用ニードルベアリング
 K14x18x17 x 7
 K14x18x11 x 1

丁度良いサイズのベアリングがないため多少のガタが発生しますが実用上問題ないでしょう。


カラーの加工
14mmの内輪を純正カラーの幅に合わせるため切断します。

大層な工作機械は持っていないため、ボール盤のチャックにダイヤモンドカッターを取り付け地道に切断しています。

正しくない工作機械の使い方は危険なのでやめましょうw

35mm幅 x 3
30mm幅 x 1

さっそく組み付け
特に加工の必要もないので早速組み付けます。

樹脂スリーブ・ベアリング・カラー・ボルトの順です。

さすがにシーリングが無いのは精神衛生上よろしくありませんから、純正のOリングを何となく利用します、効果のほどは?ですが。
純正の樹脂カラーをベアリングレース代わりにしても、強度的な問題は無い様子です。

乗り方によっては、樹脂スリーブにニードルベアリングの跡が段状についてしまうことがあります。
定期的なメンテをして、摩耗を発見した場合には樹脂スリーブを交換するようにしてください。
2004/10/31追記
リチウムグリスをたっぷり塗りつけユニトラックを組み上げます。

写真は見やすいようにカラーとベアリングをわざとずらしてます。

総評

費用は高くても4000円程度ですみます、 対費用効果は大変高く、 オススメの改造です。
しかしながら純正では考えられないほどスムースに動作するサスに感動する事でしょう
(そのうち慣れて当たり前になってしまうため、すぐに感動がうすれますが・・)

今回はK18x14x17と言うNTNのベアリングを使用しましたが、もっといいベアリングが
あるかもしれません、メーカーのカタログなどで研究してみて下さい。

ちなみに一年以上ノーメンテでも錆びて固着する事はありませんでした。
樹脂スリーブに摩耗が発生することがあるので、定期メンテを怠らないようにすることが
肝心です。
それでも作動感にリッチ方式との違いは感じられませんので、消耗部品と割り切って
考えても割安と言えるのでは ないでしょうか。

関連リンク:NTNカタログサイト

実用度 低★★★☆☆高
バカ度 馬★★★★☆賢
費用効果 低★★★★☆高
難易度 簡★☆☆☆☆難
目立ち度 地☆☆☆☆☆派

 

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2003年9月加工実施
2004/9/14検証終了、記事作成
2004/9/15追記
2004/10/31追記
2004/11/16オーディナリー方式追記
2007/07/19/hero-hero方式追記