対策レギュレータ考察

 2st KSRの純正バッテリーはすぐダメになります。

 ダメになる原因は、エンジン高回転時の発電電圧が高いため過電圧充電になるためです。

 特にB5・B6型では、ステータコイルの形状が変更されたためか発電量が多いらしく、一時期無料で対策レギュレータを配布するサービスキャンペーンが行われました。
※基本的には、ショップにクレームで持ち込まれた際の対策部品のようです。

  所有する車両には対策レギュレータを付けてはいませんが今のところ問題はおきておりません。
 タコメータなどの電子機器を取り付ける際に、機器の破損を防ぐために取り付けるなど、特に必要としない限り取り付けなくても問題ないと思われます。

  バッテリーが無くても走るバイクですから・・・

  ※だからってバッテリー外したまま走っちゃダメよ、ウィンカー球とかブレーキ球にモロ電圧かかっちゃいます。
 


レギュレータキットの内容
KIT REGULATOR
( 99999-0004 )
HARNESS
( 26031-0037 )
BOLT
( 130G0616 )
REGULATOR-VOLT
( 21066-1086 )
レギュレータキット 組付けマニュアル
( 99929-1606 )
備 考
既存ハーネスに割り込ませレギュレータと接続するハーネス ホーンとレギュレータを共締めするボルト、既存のボルトは短いため交換する 対策レギュレータ、4端子
新電元 SH636-12 (カスタム製品につき部品単体での市販はされていない)
懇切丁寧なマニュアル。
コピー用紙4枚8ページ
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ハーネスの結線図

M=オス端子 F=メス端子 (カプラーではなく金属端子を基準)
BK/R=黒地に赤線 G=緑 Y=黄 P=桃 W=白 BK/Y=黒地に黄線

レギュレータ取り付け前の電装概要図  
KSR標準の回路は、ライティング回路にのみレギュレータが存在し、チャージング回路にはレクチファイアで半波整流された電気が流れます。
バッテリー自体の定電圧特性を利用した、古い設計のバイクに多く見られる回路です。
エンジン回転数が上がり発電電圧が上がると、バッテリー内部の反応が加速され電解液が蒸発するなど劣化してしまいます。
2st KSRのバッテリーがすぐにダメになる原因は過電圧充電によるものと考えて間違いなさそうです。

レギュレータ取り付け後の電装概要図
対策レギュレータ取り付け後の回路は上図の用になります。
4Pカプラ、ギボシ端子、丸形端子を結線したハーネスがが付属しており、車両側の配線加工を必要とせずに簡単に取り付けできる設計になっています。
このハーネスを取り付けることで、既存のレギュレータとレクチファイアはバイパスされ、対策レギュレータに集約されます。
※レクチファイアを車両から取り外す指示はマニュアルには書いてありませんが、電気的に結合されなくなります。

レギュレータキットに付属する対策レギュレータは、4つの端子を持つ新電元製のカスタム部品です。
チャージング、ライティングそれぞれの回路向けに2回路のレギュレータが封入されています。
また、チャージング回路には整流機能も備えてあることから、正確には「レギュレート・レクチファイア」と言えます。

レギュレータ通過後の電圧を計測してみたところ、概ね14.7Vで抑制されている様子でした。

 
レギュレータについて



レギュレータというと、3端子レギュレータに代表されるシリーズレギュレータを想像しますが、余剰電力を熱で放出するこの方式では、電流が多く流れる回路の電圧制御に用いるのは少々無理があります。

バイクや自動車のレギュレータは、ツェナーダイオードとサイリスタを組み合わせた回路を用いることがほとんどです。左の等価回路図参照
※実際にはトランジスタや抵抗器、整流ダイオードなども使用されます。

その仕組みは・・・
ツェナーダイオードで設定された電圧を監視
  ↓
電圧が閾値を超えるとツェナーに電流が流れ、サイリスタのゲートをオン
  ↓
サイリスタのアノード・カソード間が導通し、グランドに落ちる
  ↓
発電機の電圧は0Vになる
  ↓
ツェナーダイオードが復帰し、サイリスタの回路が閉じる

このような動作が非常に高速で行われ、あたかも電圧が制限されているように見えます。
スイッチングレギュレータの一種です。

このようなスイッチング方式のレギュレータにも放熱フィンがついているのは、ダイオードやサイリスタの発生するジュール熱を逃がすためです。


余談ですが、自動車・バイクのレギュレートレクチファイアは、新電元工業の製品がほぼ独占的にシェアをとっています。


2007/7/29作成

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